資産管理について

Q1:金融商品の選択のポイントは何ですか?

 金融商品には、流動性、安全性、収益性という3つの性格があります。
<金融商品の3つの性格>

 流動性、安全性、収益性という3つの性質をすべて満たす金融商品はありません。流動性や安全性のある商品は収益性に乏しく、安全性のある商品は流動性に乏しく、収益性のある商品は流動性や安全性に乏しいという特徴があります。

 金融商品の選択においては、これら3つの性質に加えて、今後のライフプランに基づく資金の目的と、その資金が必要となる時期が短期なのか中長期なのかを勘案して行っていくことが重要です。
 金融商品を上手に選ぶためには、自分のライフプランを明確にし、その中のさまざまなライフイベントに必要となる資金の時期や金額を確かめて、それにふさわしい金融商品に絞って選んでいくことが大切です。

・準備資金
病気・ケガ、災害、失業など、突発的な支出への備えとして準備する資金は、支出のタイミングをあらかじめ決めにくいという特徴があります。そのため、いつでも使えるように流動性が重視されます。
・短期資金
数年以内に見込まれるライフイベントに備えて準備する資金は、保有額が予定されていた金額よりも減ってしまうと、計画していたイベントが実現できなくなります。そのため、積立金が元本割れしないように、安全性を重視して選ぶことが必要になります。 ・中長期資金
一般的に中長期(概ね5年超)な計画の下に将来見込まれるライフイベントに備えて準備する資金は、一定期間があるので、リスク許容度を考え収益性と安全性を組み合わせて運用していくことが可能です。
・利殖資金
運用により高い収益を追求するには、一方で損失が発生し元本を損なうリスクも想定する必要があります。このため、このような利殖資金は、中長期的に使う目的のない余裕資金を中心に用意することとなります。

Q2:資産管理におけるリスクは何ですか?

 投資の世界におけるリスクとは期待収益に対する収益の上下のブレ(偏差)を指しますが、家庭経済設計における資産管理では、資産の残高が減ってしまう危険性と考えて差し支えありません。これは、二つに大別できます。
 1つ目は、元本保証のない金融商品、いわゆる値動きのある商品に投資している場合です。代表的なものとして株式、公社債(中途売却目的の保有の場合)、投資信託などがあります。ハイリスクハイリターンといわれるように、高い利回りを追求しようとすれば、それに見合ったリスクを覚悟しなければなりません。
 2つ目は、預けている金融機関が経営破綻してしまう場合です。銀行、証券会社、保険会社にはセーフティーネットと呼ばれる金融商品保護の仕組みができています。しかし、必ずしも預けている資産の金額が保護されるわけではありませんので、基本的な保護のルールや預金保険対象商品の理解と損失を最小限に抑える対策はとっておいて損はないでしょう。
 例えば定期預金の場合、1金融機関につき預金者一人当たり1,000万円とその利息までしか保護されませんので、それ以上の定期預金がある人は複数の銀行やペイオフ対象外の商品に分散するなどの対応策も検討する必要があると思われます。
 その他には、詐欺に遭う危険性なども存在します。特に、退職手当支給直後の退職者は狙われやすいため、いわゆる「うまい話」には十分注意しましょう。

Q3:リスク許容度とは何ですか?

 リスク許容度とは予想した運用成果を挙げられなかったときや、損害を被ったときの不足・損失を、どれくらいまで許容できるかという尺度です。
 つまり不確実性にどれだけ耐えられるかということです。年齢や運用できる期間、ライフスタイル等により一人ひとり異なります。また大きな支出をともなうライフイベントを控えているかどうか等により、一生のうちでも変化します。
 一般的には、若い人ほどリスク許容度が高く、年齢を重ねるとともにリスク許容度は低くなっていきます。

Q4:生命保険の見直しのポイントは何ですか?

 ライフステージの変化にともない、保障ニーズも変わってくることがあります。生命保険は長期間にわたる契約のため、そのような場合には、保障内容の見直しをすることが必要です。

加入している生命保険のチェックポイント

①加入目的…どういう事態に備えるための保険か。
②保証額…その保険金額は加入目的に照らして十分かあるいは大きすぎないか。
③保険期間…保険が必要な期間がカバーされているか。
④保険料払込期間…将来にわたって無理なく支払える期間か。
⑤特約の種類…必要な特約が付加されているか。余分な特約を付けていないか。

保障を見直す

1 保障額を見直す

 年齢や家族構成の変化とともに保証額(=死亡保障)の目安も変化します。一般的には末子誕生の直後あたりが保証額のピークといわれています。
(1)保障額を増やしたい…①追加契約、②増額、③転換制度
(2)保障額を小さくしたい…①減額、②解約
などの方法があり、それぞれ一長一短がありますので、よく検討のうえ選択するようにしましょう。特に、保障額を下げる場合には、健康状態によってはその後の増額や新規加入ができないこともありますので注意が必要です。

2 他の保障ヘのシフト

 年齢とともに重視すべき保障の種類も変化します。例えば、子どもが独立した後は大きな死亡保障は必要がなくなる代わりに、自分が長生きした場合の老後資金の確保や病気による入院の備え等が重要になってきます。このような場合、死亡保障を減らして個人年金や医療保険に加入するといった切り替えも必要になるでしょう。
 なお、終身保険は、保険料払込満了時以降に死亡保障の代わりに年金受取への変更を取り扱う会社もあります。